著者は白洲次郎の妻で、1998年に亡くなられている。この本は、1948年に刊行された単行本が、今年8月に新書版で発刊されたものである。
何分、終戦直後に書かれたもので、今だったら文字にすることを躊躇するような差別的な用語も含まれているが、そういうものも含めて、極めてストレートに書かれていて、大変わかりやすい。美とは何か、人生とは何か、そういった大きな命題に対する著者の気持ちが非常にわかりやすく書かれている。私は非常に共感を持ってこの本を読むことができた。
つべこべ言わずに、正しいことは何かということがストレートに書かれている。昨今は、日本語の単語が、差別用語などとして使えないものが非常に多くなっており、(そのことの是非は議論があるものの)文化が衰退しつつあることは否めない。文化の高さを感じた。なお、この著者はマッカーサーを困らせたというくらいだから、相当な人である。
本当の日本人とはどんなものなのか、わかったような気がした。明治の人の話を読むと、それを感じることが多い。自分が幼少の頃、親の実家に行ったりしたときに、明治生まれの祖父母がいたり、茅葺きの家だったりしたので、私はその辺の空気が体感的に理解できるおそらく最も若いグループに属するのではないかと思う。
この本は繰り返し読んで座右の銘にしたい本である。
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