2012年11月18日日曜日

タカハシマコト「その日本語、お粗末ですよ!」、宝島新書

コピーライターである著者は、人一倍言葉に敏感なのに違いない。「貧しすぎる日常会話」として挙げられているものをいくつか示すと、ウィン・ウィン、上から目線、勝ち組・負け組、自分にごほうび、草食系、見える化、バイト敬語など、消化できていない、出来損ないの言葉や日本語としておかしいものなど、私も抵抗がある言葉に対しては、気持ちがすっとする快感を覚える。

一方、 次のような言葉が「お粗末すぎる日本語」として挙げられている。遺憾、維新、失われた○年、オンリーワン、自分探しなど。こちらは、何となく違和感を感じていても、これらの勢いのある言葉に異を唱えるのは難しく、こういう本を読むと、やはりそうだったんだ、と意を強くする(人の書いていることを頼りにしないといけないとはなさけないなあ)。
自分がかけがえのない存在だと思っているのは、あなただけ、つまり、世界でオンリーワンかもしれない。(p.108)
どこにもいる「あなただけ」に、かけがえのない価値はない、ということ。厳しいけど、これはわきまえる必要のある言葉と思う。 もちろん、1人1人の人格を否定しているわけではない。そこの論点の違いをきちんと見極めれば、この言葉を誤解することもないだろう。

おかしな言葉で人の注意を引くということに警鐘を鳴らしている本であると思う。この人の作ったコピーを見てみると、確かに、妙な言葉は一つもない。これは、大いに学ぶべき事と思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿