2013年11月16日土曜日

芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論」、ロゼッタストーン

この著者の記事が11月12日の朝日新聞のオピニオンに載った。それは、「脱点数主義の罠」という、入試などでの人物本位の評価を否定し、点数主義に徹するのが良いという、ある意味、衝撃的な内容のものであった。人物評価の面接では、「数人の面接官による限られた時間の面接で判断できますか。面接官の好みが前面に出るだけです」と言っている。さらに、「勉強が人間をつくるという面を見ようとしていない。勉強嫌いの人たちが集まっているのでは、と勘ぐりたくなります」と、手厳しい。しかし、言われてみると、確かにそうだ。私の少ない経験でも、面接で高評価だった学生が、入学後すばらしいかというと、むしろ逆の印象の方が強い。
前置きが長くなった。そこで、ともかくこの人の本を読んで見なければ、と思い、早速注文して読み始めた。
 なにせ、500ページ近くある分厚い本であり、さらに、流し読みで理解できるようなものではないので、読むのに時間がかかる。章立ては次の通り。
1.努力する人間になってはいけない -これから社会人になるあなたたちへ
2. かけ算の思考 割り算の思考 -これから勉強を始めるあなたたちへ
3.就職活動への檄20箇条 -大きな企業が有利な本当の理由
4.読書とは何か -本を読める人はわからないことを恐れない人
5.家族は社会の基本単位ではない -家族の社会性と反社会性について
6.なぜ人を殺してはいけないのか  -愛の自由と出生の受動性
7.学校教育の意味とは何か -中曽根臨教審思想から遠く離れて
8.キャリア教育の諸問題について -学校教育におけるキャリア教育とは何か
9.ツイッター微分論 -機能主義批判と新人論と
10.追悼・吉本隆明 -機能主義悲観としての言語の像概念
 内容についての私の意見は、後日書くことがあるだろう。

2013年11月15日金曜日

水内茂幸「居酒屋コンフィデンシャル」、新潮文庫

産經新聞の記者である著者が、民主党から自民・公明の政権に変わる少し前あたりに、自民党の議員中心に、居酒屋で取材したものを載せた本である。取材の相手は、大島理森、園田博之、谷垣禎一、加藤紘一、津村啓介、下地幹郎、石破茂、阿部知子、岸田文雄、安倍晋三、高市早苗、玄葉光一郎などである。また、特別宴席として、石破茂と野田聖子の対談もある。
これを読むと、それぞれの政治家の人となりがよく伝わってくる。酒が強い人も弱い人もあるが、共通して、よくしゃべり、対談を盛り上げたことが伝わってくる。
議員宿舎に住む議員の生活が、必ずしもリッチではなく、わびしいものであることもわかる。単身赴任とはそういうものなのだろうが、センセイ稼業とはこんなものなんだなと思う。
あと、当時の総理野田佳彦や福島瑞穂ともやってほしかったのだが。産経の記者には興味がないか、それとも苦手か。まあ、酒を飲みながら話をする雰囲気ではないか。