2013年6月25日火曜日

谷本真由美「キャリアポルノは人生の無駄だ」,朝日新聞出版

キャリアポルノとは,この人の考えた言葉で,いわゆる「自己啓発書」のことである.自己啓発書が悪いものだとは普通あまり考えないだろう.特に,積極的にそういうものを読む人もあるに違いない.しかし,それはポルノと同じで,意味がないというのだ.
こういう本は,一度読んで終わりではなく,同類の本を次々に読む.何度も自己啓発するということは,本当に自己啓発になっていない証拠だという.非常に手厳しい.
人脈を広げるといった行動も同等の行動だそうだ.確かに,言われてみたらそうだと思う.私も,そういうキャッチフレーズに弱い方かもしれない(典型的に弱いわけではない).私の書架にも,そういう本が散見される.「スタンフォードの自分を変える教室」なんて本が,読まずに積んである.

この人の思想の根本は,ヨーロッパ人の人生観があると思う. この人はイタリアでそれを身につけた.私も25年ほど前にオーストリアにいたときにそういうヨーロッパ人の人生観に触れて非常に衝撃を受け,自分の人生観に大きな影響を受けた.だから,昔の自分を見るようで,とてもよくわかる.この本は,私を25年前に引き戻してくれる.

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