百田尚樹氏の処女作である。永遠の0のゼロはゼロ戦のことである。
物語は現在から始まる。姉弟が、自分たちの祖父のことを調べたいという興味から、話は始まる。
祖父といっても、自分たちが最近までおじいちゃんと思っていた人ではなく、本当は実の祖父がい
て、その人のことを調べたいと姉、いや、母が言い出したのである。
その人、宮部久蔵のことを知っている人を調べていくと、戦争の際の知人だった人が何人かあるこ
とがわかった。それらの人に順に面会して話を聞いていくうちに、宮部の人物像が明らかになって
いくという構成である。
この話は、宮部久蔵の人柄に心から感動させられる物語である。職業軍人にあるまじき(というの
が常識だった当時の雰囲気の中で)、自分の命を最優先するという設定である。そして、この人は
まれにみる非常に優れたパイロットである。
自分の命を大切にする。それは自分の家族のためである。それを終始貫くことは、彼の立場上非常な困難だったにも関わらず、それを貫き通す。しかし、最期は、特攻して死んでしまう。それはな
ぜか?
次から次へと読者の興味を新たに喚起しながら話が実話のごとく進んでいく。戦況などは実話であ
ろう。これによって、太平洋戦争のことを少し知ることができる。そして、それ以上に、物語とし
て楽しむことができる。
12月には映画が公開されるという。本を読んだ後に映画を見ると、印象が変わってしまうことがあ
るが、この話であれば、やはり、私の想像力を超えた世界である、戦争のさまざまな場面は映画に
よって見せてもらうほうが、よりリアルにイメージできると思う。だから、見ることにする。
この本の最後には、児玉清氏の13ページにおよぶ解説がついており、これがきわめてすばらしい。
てっとり早くストーリーを知りたければ解説から読むとよい。
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