2013年4月24日水曜日

湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂」新潮文庫

近くて遠い国。中国。私たちの年齢(昭和30年代生まれ)くらいが、最も中国に対して親近感を持っていた年代だろう。物心つく頃までほとんど何も情報がなく、眠れる未知の国という感じであった。ある頃(国交回復頃か?)から、日本から旅行のツアーが始まった。人民元と兌換元があり、外国人はレートの遥かに悪い兌換元しか使えなかった。それでも、日本は圧倒的な強さがあり、核実験以外は、中国を恐ろしいと感じることはなく、物珍しさからこの国や文化に近づいていった時代が続いたと理解している。そして、私は直接話したりメールを送る中国人の友人も何人かある(両手で数えられるほどではあるが)。もっと年配の人は戦争を知っているだろうし、もっと若い人は、強くなった中国しかしらない。

親しくなればとことん信頼できるが、物事に対する感じ方や方法など、よくもこんなに違うものだと思うほど違いを感じることもたびたびのこと。最近はそれが国際関係にも強く影響していると思われる。この国で、成功を収めたというイトーヨーカ堂の物語である。さもありなんと思われる多くのトラブルが書かれている。それでも、この国で成功を収め、昨年のデモでもほとんど無傷だったらしい。
日本のブログやSNSでは、多くのネット右翼が日本人の中で理屈が通らない人に対して浴びせるのと同じような議論を中国に対しても行っているように思えるが、そこには、こういう国が隣にあるという現実をどうしていくのかという建設的な議論は見えない。この本を見ると、中国人とのつきあい方の一つのあり方が書かれているように感じる。

0 件のコメント:

コメントを投稿