2014年2月23日日曜日

キャサリン・サンソム「東京に暮らす」、岩波文庫

先に読んだ、藤原正彦氏の「名著講義」で紹介してあった本である。そうでもない限り、こういう古い本を読むことはあまりない。
この本の筆者は、1928年~1936年、外交官でご主人になるジョージ・サンソム氏と日本にやってきて、その直後日本で結婚し、8年間日本で暮らしたときのあれこれが書かれている。

日本は昭和初期であり、私もあまり知らない時代であり、その頃の日本人の様子がよくわかる。どうかというと、日本人の性格を驚くほどよく捉えている。もっとも、ごく最近の日本人は少々違う。私の知っている、昭和の時代の日本人そのものである。
その当時から、日本人はイギリス人の筆者にはとても親切だったようであり、この本を読み進めていくと、同じ日本人として、うれしくなるような感覚だった。いわゆる、「おもてなし」精神は当時も(というか、当時は今以上に)あったようである。
もちろん、今ほど経済的に豊かではないが、それでも、精神的には当時の日本人が非常に豊かであったことを知ることができる。

筆者は日本の風呂が好きだったようで、 日本では混浴が当たり前だったことに驚きと関心を持ったようである。白人がその当時に混浴の風呂に入ったら、どういう視線があったか、想像に難くないが、不快な思いはされなかったようで、西洋人の想像できない日本人の風呂文化があったと思われる(今は混浴は少ないが、そういうところでは昔も今も変わりないだろう)。

戦前に、イギリス人がこのように、日本を体験していたことは、私の想像を超えるものがあった。どうしても、今の日本をその時代に重ねて考えてしまうが、政治的なものは抜きにして、人と人、文化の視点で外国人を直視することの大切さを知った。

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