2011年10月19日水曜日

向田邦子「男どき女どき」、新潮文庫

肌に慣れた毛玉の出たおととしのセーターを着て、背中を丸めて、こたつに入り、みかんを食べる。うとうとしてきたら、そのまま体を伸ばして畳に寝そべればいい。夢見心地のなかで、風邪をひかないように誰かが綿入れの袢纏をそっと掛けてくれるのが判る-民謡にはそんな気安さがある。(p.152)
どうです、見事な描写ですね。この日本的な光景、見事に見せてくれます。向田邦子にこのところ首ったけです。

0 件のコメント:

コメントを投稿