2011年2月26日土曜日

越川禮子「江戸の繁盛しぐさ」,日経ビジネス人文庫

繁盛と仕草は大きな関わりがあるに違いないと思っていたが,ちょうど面白そうなタイトルの本を見つけたので,買って読んでみた.
江戸絶賛の著者で,薩摩あたりが田舎者と言わんばかりに書いてあるから,長州人である私は少し気になったが,たしかに,薩長人は江戸の人間から見ると,決して「粋」ではないだろう.まあ許そう.江戸の,スマートなところ,粋なところ,インテリジェントなところ・・・はよくわかった.池波正太郎を少し読んだりしていたので,最近は江戸も私の興味の対象となっている.
本としては,同じ話が何度も出てきたりするところはいただけない.

2011年2月3日木曜日

佐藤隆介「池波正太郎直伝 男の心得」,新潮文庫

池波正太郎の側近だった著者の随筆であるが,池波正太郎の影響が色濃く出ている.酒の飲み方,人とのつきあい方,金の使い方,妻との関係,すべて「男らしい」.
酒は飲む楽しみのために飲む.いつでもそういう酒でありたい.陰々滅々と飲んでいるだけで話題もなければ何もないという相手では,一緒に飲んでも時間の無駄である.飲めばカラオケという手合いも願い下げだ.愉快に酌み交わして談論風発,学生時代の気分に帰って語り合い,時間のたつのを忘れる・・・こういう酒が理想的だ.そのためにはお互いに,それなりの教養や知識や人生経験の積み重ねがいる.酒道は生涯稽古である.(p.48)
酒に誘われるような人間になる.これが理想.